ボジョレー・プリムールに女王「マダム・ルロワ」の哲学を聴く

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2016年の「ボジョレー・ヌーヴォー」解禁日は11月17日の第三木曜日。「ボジョレー・ヌーヴォー」という販売俗称が一人歩きしておりますが、ワイン業界では正式には「ボジョレー・プリムール(一番酒)」が正しい名称です。

9月15日から始まった収穫も終わり、ボジョレー地区では既に「ボジョレー・プリムール」独自の仕込みが始まっています。
今年のボジョレー地区の気候は、7月と8月の日照時間が桁外れに長い年でした。8月はなんと例年の2倍の日照時間を記録。この長い日照時間はワインに好影響をもたらし、近年まれにみる“豊作の年”となりました。
その量なんと、直近5年間の平均を約四割も上回るというではありませんか。これは、かなりしっかりした仕上がりが見込めそうです。

「ボジョレー・プリムール」の発売は1800年頃からといわれています。その年のぶどうの出来をみる、という一番酒(プリムール)の意味があります。
ただデイリーなクラスの品種の「ガメイ種」で地酒を早作りしているので味はある程度、割り切られる側面もありました。

「青臭い味」と言われ、あまり美味とはいえなかった地酒の一番酒。それを世界的な戦略で世界中に広めた人物がいました。それがジョルジュ・デュブッフ氏。解禁日を熱狂にかえ、「ボジョレー・ヌーヴォー・ブーム」の偉業を成し遂げました。

ブームと同時に量産期へと入っていった1970年代から1980年代にかけて、化学肥料や農薬の散布によっての増産で偉大なるブルゴーニュの土地、ワインの味が微妙に変化しているのを感じた一人のマダムがいました。
それが、ブルゴーニュの地に本拠を構えるルロワ社の総師「マダム・ルロワ」です。

彼女はワインに関して世界最上の味覚、テイスティング能力の持ち主と言われ、厳しい品質管理により素晴らしいワインを造りあげています。
1988年よりビオディナミ(有機農法無農薬)のリスクをものともせず、自分の舌に叶うワイン造りを続けています。
1991年には最高峰のロマネ・コンティ(DRC)の共同オーナーの座を辞して、自身のメゾンに集中し始めました。古巣のロマネ・コンティ(DRC)に負けないワインを作った唯一の女性、それが「マダム・ルロワ」です。
御年83歳の最前線を牽引する、誰もが認める世界一完璧主義の女性醸造家です。
マダム曰く「自分が納得するワインが造りたかっただけ。天と地の恵みでぶどうが育つ」。
2004年の出来に納得できず、一級と特級のワインの生産を中止させた話も、「シャネルのスーツを着て畑に出る事」も、数ある多くの伝説のひとつに過ぎません。そして自身の著書でこう語っています。

「ワインに聴く」
ワインを語る人は大勢います。しかし、ワインに聴く人は本当に少ないのです。ワインを知りたいのなら、ひたすらワインに聴くことですよ。
ワインはメモワールです。さあ、目をつむって、お口に含んでごらんなさい。
〜マダム・ラルー・ビーズ・ルロワ〜(※)

初めて「マダム・ルロア」の「ボジョレー・プリムール」を口に含み、この「プリムール・ワインを聴いた瞬間」はあまりにも衝撃的でした。
それはヌーヴォーの代名詞の「青臭い味」とは正反対の、「成熟し洗練を極めた」マダムの味との出会いでもありました。

今年は貴方も、プリムールらしからぬ芳醇で濃厚かつエレガントさに包まれる味わいの「マダム・ルロワ」の「ボジョレー・プリムール」をどうぞお愉しみください。

■ボージョレ・ヴィラージュ・プリムール2016/LEROY(ルロワ)(高島屋オンラインストア)
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※「マダム・ルロアの愛からのワイン」 文園社発行
■マダム・ルロワの愛からワイン―ブルゴーニュ 土の味・風の香り/星谷とよみ(著)/単行本(Amazon)

(photo:https://pixta.jp/)

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